小学生はほぼ必ず、中学生も学校によっては夏休みの宿題として自由研究を課されます。
で、自由自由っていうけどいったい何をやればいいんだよ・・・と悩む生徒さんが毎年多いのも事実。
確かに「自由」っていうだけあって幅が広くて考えづらいんですよね。
どちらかというと自由研究大好き系でここまで生きてきた理系人間が、テーマの見つけ方のコツやどうやったら自由研究として成り立つテーマなのかを見分けるポイントをまとめてみました。
自由研究のテーマの見つけ方
自由なんで、正直言ってなんでもいいと思うんですよね。
と言ったら身も蓋もない、何も問題は解決しないよ!と思うかと思いますが、極論から行くとまじめな話、自由研究のテーマなんて家の中にいくらでも転がっています。
と、具体的なテーマを教えてもらってそれを適当にやって提出しようと思っている人には申し訳ないのですが、具体性のあるテーマをここで提示することは私にはできません。
なぜかと言うと、テーマをまるっと提供してしまうと、自由研究本来の意味が失われてしまうと考えているからです。
自由研究って小学生がやるとはいえ研究です。
しかしその研究ってすごい成果とか大発見とかを期待されて・・・なんかいないのは明らかです。
つまり結果ではない部分で評価されいる。
それは一体何なのか?
先生方が見ている小学生の自由研究って言うのは、単純に本人が
『何でだろう?どうしたら調べられるかな?この結果はどういう意味だろう?』
って考えた痕跡が見えるかどうかという点です。
そういう意味で、ネタ提供というのは
『こういう実験をすればこういう結果が得られ、それはこういう意味です』
・・・ってまとめれば自由研究の形になりますよ!って言っている物。
つまり自由研究のネタって思考過程とかまで全て内包している実験のセット販売なんですよね。
もちろんそういう方向に本人の思考誘導出来るなら話は別ですが。
そういう意味で、私は具体的なネタ提供はなるべくしたくないと思っているので、だったら逆転の発想で私がやっていたネタの見つけ方を提供するのでお子さんが本当に興味がもてるネタの方を見つけて欲しいな~って考えてこの記事を書いています。
と、前置きは長くなりましたが、まずは家の中をまず見回してください。
というか、この記事を見ている液晶画面。
これだって突き詰めていけば「なんで映るの?」「どうして誰かが別のPCで書いた文章が別のスマホやパソコンで読めるの?」なんて、仕組みを考えたことありますか?
「そんなのそういう仕組みを作った人がいるからじゃん」と片づけてしまうのはもったいない。
その、なんで?どうして?というのが大事なのであって、別に小学生・中学生に世紀の大発見を求めているわけじゃありません。
調べたら答えが出てくることで全然かまわないんです。
自由研究で求められているのは発見内容ではなく、何か疑問に思ったことを調べるための作業や考える道筋のつけ方やまとめ方。
それがちゃんと論理的にできているかが問題なんです。
ものすっごい大発見は大学生以降、むしろ大学生ですら難しいのでちゃんとした研究者にお任せしてOK
そう思ってもう一度肩の力を抜いて家の中、家の周り、通学路、いつもいくコンビニ、なんでもいいので見回してみてください。
「あれ?」って思うことありませんか?
そういう仕組みを誰かが作ったのだとしても、どうしてそれが必要だったのか・なんでそういう形や色になったのか・・・
いろいろな「どうして」「なんで」が転がっているはずです。
自由研究が思いつかないんだけどコツってある?
さて、そうはいってもやっぱり思いつかないものは思いつかない!と思う人もいます。
ただ、それは実験好きから言わせていただければ、刺激不足が問題。
刺激?
なに、もっと楽しいことしろって?
って思うなかれ。
これでゲームでもやったりしても何も見つかりませんから。
むしろいつもとは違うことをして、「なんで」「どうして」のきっかけになる出来事と出会う必要があります。
いつもの生活、毎週決まって見るテレビ番組、いつもお母さんが作ってくれるごはん、刺激のない生活。
探そうと思えば確かにいつもの生活の中に自由研究のテーマを探すことはできます。
でも日ごろから「どうして?なんで?」と考える癖がついていない人は、やっぱりそれが苦手。
苦手ならば「どうして?なんで?」と自然と考えてしまうような環境に自分を放り込んでしまう方が効率よくテーマを見つけることができます。
まず、テーマが全く思いつかない!という人は、自分が「どうして?なんで?」と考える癖がついていない・苦手なんだと思ってください。
そのうえで、いつもと違うことを生活の中でして「あ、あれ?これなんだ??」とおもうチャンスの幅を広げておきます。
具体的には、いつも見ないニュース番組・バラエティー番組(自然系とかがいいかも)・本(教科書の先読みでもOK)・いつも行かない場所(博物館とか)を生活の中にポンと取り入れます。
そのなかで「おや・・・?」と思うことをとにかくスマホでも何でもメモしていきます。
もちろん小中学生が調べるんは難しい課題もたくさんありますので、メモした中から自分でもできそうなことを選ぶ必要はあります。
しかし、いつも何も疑問も持たずにとりあえずで生活しているよりは、ずーっといろいろなところに疑問を持つようになるかと思います。
自由研究って何をすればいいか全然わからない
しかし日ごろの生活やちょっとしたきっかけを自分に与えて、自由研究のテーマを見つけたとしても、うまくそれが調べられるかどうかは難しいところですよね。
確かに日常の中にはたくさんの「どうして?なんで?」が転がっているものの、そのすべてが自由研究のテーマになるかどうかは別問題なのです。
簡単に分けてみると
●研究テーマとしては成り立つが、小学生・中学生がやるのには難しいもの
●研究テーマとしてそもそも不向きなもの
があります。
つまりたくさんの「どうして?なんで?」と感じたものの中から、年齢や自分の能力に合わせてテーマを選び取る工夫が必要です。
「じゃあ選び取るにはどういう基準がいいの?」というと、いくつか注目するポイントがあります。
まずあまりにも難しすぎるものは回避する必要があります。
例えば
太陽が出てくると気温が高くなる
↓
どれぐらい太陽って熱いの?
↓
自由研究で太陽の温度を実際に計測する
・・・なんてできますか?
難しいですよね。
なぜ難しいかというと、機材がないというのが大きいのです。
自由研究はあくまで個人ができる範囲内の研究。
そのため大掛かりな実験道具やお金がかかるような調べ方はできません。
同じように、
土用の丑の日のウナギが高い
↓
なんでウナギが高いの?
↓
ウナギの卵を取りに行く!
・・・なんて国の研究機関が大学と連携してわざわざ調査船を出してやっていることですから、こういった疑問も小中学生には無理です。
もしどうしてもやりたいテーマがあるけど難しそう、という場合には視点を変えて自分だけで、あるいは保護者の方に手伝ってもらってできる程度のテーマにスライドさせる必要があります。
では、そのテーマのスライドとはどうやるのでしょうか?
それにはテーマとして不向きなものを見つけて回避するのと同じ手段を用います。
まず、自由研究のテーマに不向きなものというのは、簡単に言うとあなたが数えられないものです。
研究というのはデータを取ることが基本となります。
そのため、感情や気持ちといった主観でしか表現できないものは上手にまとめることが非常に難しいのです。
具体的には、
バラと桜はどちらの花がきれいか?
↓
好き嫌いは人それぞれなので数字では記録できない
といった、その人の心でしか判断できないことは難しいと考えるべきでしょう。
そのため、基本的には数で表現しづらいものについては不向きであると考えた方がいいでしょう。
逆に感情や気持ちを数で表現する方法があるのであれば立派な研究テーマになります(日本人はバラと桜どちらが好きな人の方が多いか、外国人の結果と比べてみる&その理由を考えてみる など)。
対してテーマに向いているものは、
●ある/なしで判断ができるもの(花が咲いている/咲いていない、犬が尻尾を振っている/振っていない など)
●写真として画像から判断できるもの(木や動物の種類、石の模様、雲の形 など)
といったものです。
そして先ほどの難しかったりお金がかかるので難易度の高い研究というのは視点を少しスライドさせて、こういった自分でも観測&記録できるものに変えてしまうのです。
例えば先ほどのウナギならば別の魚に変更して飼育してみて観察してみたり、太陽の温度は測れませんが一日の気温の変化と太陽の高さの関係であれば記録することができます。
小中学校はもちろん、日本の教育課程ではあまり「研究」ということの基礎を教えてくれません。
それなのにいきなり夏休みになって「自由に好きなことを研究してきてね」なんてものすごい無茶振りもいいところ。
ただ、研究というのは基本的には数字でデータを記録して、条件の違いと数字の差が結果となり、どうしてそうなったのか?を考える考察がワンセットと考えれば成り立ちます。
あまり難しく考えず、とにかく気になったことを調べるにあたって自分が手に入る範囲のもので観察して数字で記録できるかどうかという2点に気を付けてテーマを探してみてください。
自由研究のテーマどうすればいいのかわからない人用まとめ
●「すでにこういうシステムだから」と答えを出さない
●大発見をする必要もないし、答えがもう知られていることでも全然かまわない。大発見は大学生以上の人たちの仕事です
●どうしてもきっかけの「どうして?なんで?」が見つからない場合には、いつもと違うことをして自分に刺激を与えてみる
●たくさんの「どうして?なんで?」の中には、難しすぎるものやお金がかかるもの、そして記録しづらいものがあるので、そういうテーマは回避
●基本的には自分ができる範囲のことで数字や写真で記録を残せるものがテーマとしては適切
中学生にもなると自由研究が内申点にも絡んでくると思うので、やりたくなくてもやらざる負えない状況になってくると思います。
ただ、自由研究というのは本当に自由なので、そう堅苦しく考える必要はありません。
述べた通りテーマを選ぶにあたって少しコツがあるだけで、自由研究をスムーズにできる人というのは無意識にそういったことができているだけの話なのです。
そのやり方や考え方を習っていないのだから出来ないのは当たり前のこと。
恥ずかしがらず、どうして?なんで?と思ったら素直にそれを調べられる環境を作り、調査することさえできれば、自由研究は形になると思うので頑張ってみてください。
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