「うるう年って何?」
「なんで四年に一度なの?」
「誰が決めたの?」
「うるう年はいつからあるの?その前はどうしてたの??」
子供の疑問は時として恐ろしいほどザクザクと切り込んできます。
が、確かにうるう年に関しては難しいです。
私も勉強するまでなんだかよく分かってなかった。
勉強した今、ようやく少し分かってきた気が・・・するかもしれないので、それを確かめるためのアウトプットにお付き合いください。
うるう年って何?
そもそも「うるう年」って何なんだ?って話ですよね。
定義としては「うるう日が存在する年」のことをうるう年と言い、漢字では閏年と書きます。
「閏」なんて珍しい字ですが、実は古代の儀礼として閏月には王が門の中にいるというところから形になった字だそうです。
その後「閏」と「潤」を混同したため「うるう」と読むようになったのだとか。
意外と漢字だけでも古い謂れがあるんですね。
うるう年の法則と計算方法
さて、そのうるう年、もというるう日2/29ですが、どういう計算方法で挿入されているのでしょうか。
大抵の方は「四年に一度オリンピックの年」と覚えているかなと思います。
これが半分正解で半分間違い。
実は以下の三つの法則の元、現在のうるう年は決められています。
①西暦を4で割って、割り切れた年はうるう年
②①のうち、西暦を100で割り切れた年はうるう年ではない平年とする
③①、および②のうち、西暦を400で割り切れた年はうるう年
どうして三つの法則から計算しなければならないのかというと、その仕組みはちょっと複雑です。
実は地球が太陽の周りを一周して元の位置に戻ってくる公転周期はおおよそ365.25日と観測されました。
そのため4年に一度+1日しないとその分だけずれて行ってしまいます。
そうやって作られたのが2/29のうるう日。
ところがより正確な公転周期は365.2422日で、365.25日には0.0078日およそ11分足りません。
この差がつもりに積もると大変なことになってしまうため、400年でうるう年は97回と言う決まりを作り、下三桁が100で割れるが400で割れない年にはうるう年をやらないという決まりになりました。
・・・と言うのが、一応現在のうるう年の法則なのですが、実はこの補正をもってしても4882年で1日分の誤差が生じることが分かっています。
なぜか?
実はさらにさらにさ~ら~に~正確な公転周期は365.242190402日・・・・(Wikipedia参考)と、365.2422日で計算した場合にも端数が生じます。
この端数が4882年後に来るであろう2月30日の原因というわけです。
うるう月やうるう秒との違いは?
うるう年というのはよく耳はするけれど、なんとなくどこかで「うるう月」や「うるう秒」という言葉も聞いた覚えがあるような無いような?
これって何なんだろう? うるう年とどういう関係があるのかな?って不思議に思ったこともあるかと思います。
それって一体何?どんな関係があるの?って言うところです。
うるう月について
うるう年が2/29のうるう日を挿入することで暦のズレを修正する物であるのならば、うるう月は丸々ひと月分余分に入れて暦のずれを修正する物です。
ひと月?!って思われるかもしれませんが、実は江戸時代までは日本もこの形式でした。
太陰太陽暦と呼ばれる暦を使っていたため、時折一年が12カ月から13か月に増える年があったそうです。
その挿入されたのが閏月。
ちなみに江戸時代当時のお侍さんは月給ではなく年俸制でした。
つまり閏月がある年は一カ月も多いのにお給料は据え置き。
そのため高い買い物をするのは控えた方が良いとされ、それがそのまま現代に残った風習・迷信が「うるう年にはお墓は買わない方がいい」というものです。
一カ月多かったら生活費も大変ですから、確かに高い買い物は控えた方が良いのは当たり前。
しかしながら現在のうるう年は一日増える程度ですから、ぶっちゃけ関係なし。
縁起が悪いとかそういう理由ではないので、気にせずにお買い求めになってよろしいかと思います。
感想(2件) |
自作のお墓とか入るの楽しそうです(エッ
うるう秒について
もう一つ聞き覚えはあるけどなんだかよく分からない「うるう秒」について。
実はうるう秒が入る年はこれと言って決まりがありません。
なぜかと言うとうるう秒はうるう年やうるう月と違い、暦を補正する物ではなく、時間を補正する物だからです。
元々時間とは『一日の長さ(自転)の長さを24分割したものを時、さらに60分割したのを分、さらに60分割したのを秒』という決め方をしていました。
その後、1967年に原子核がもつ普遍的な現象を利用したセシウム原子時計が作られ(簡単に言うと一秒の長さが狂わない時計)ました。
ココで問題が起こります。
実は地球の自転の速度は変動、具体的には徐々にスピードが落ちています。
そのため絶対に狂わない時計と従来の決め方の時間に誤差が生じてきてしまいます。
この差を修正するのがうるう秒です。
そのためうるう年と違って足されることも引かれることも想定されています・・・が、自転速度が落ちていく関係上、今のところ足された経緯しか今のところありません。
ちなみにうるう日・うるう月がある年のことをうるう年と言いますが、残念ながらうるう秒を入れる年をうるう年とは呼びません。
2020年一月現在の直近で行われたうるう秒は2017年、三年前の元旦一月一日でした。
次はいつになるのか? 廃止の動きもあるらしいのでどうなるのか経過を追いたいと思います。
うるう年のなぜ
こんな風に計算されている「うるう年」ですが、それでもまだ何で?って思うポイントはたくさんあります。
誰が決めたの?とか何で二月なの?とか。
そのあたりの歴史的な話も少し頭に入れておくと、うるう年がちょっとだけたのしくなる・・・・かも?(うーんどうだろう)しれません。
ちゃんとしたうるう年が無かった時代
「ちゃんとした」というのは少し語弊がありますが、いわゆる現在の2/29のうるう日が存在する暦は一般的には太陽暦(太陽の動きを元にした暦)にて運用されているものです。
古くこの太陽暦ではなく農耕暦を使っていたローマでは、実は初期のローマ人たちは一年の長さが365日であることを知らなかったようです(10か月と約61日というスパンで一年と考えられていた、冬場の畑仕事が無い時期は日付が必要ではなかった)。
で、その後ヌマ暦などの暦を経た紀元前46年ごろ、最終期のローマ暦はとんでもないことが起きていました。
実はうるう日の挿入をして暦のずれを修正していたのですが、戦争をしていて忘れちゃったり(エッ)、うるう日の挿入をする神官の長のお仕事が軽視されたり、はたまた政治的な理由でわざと一年の長さを操作したり・・・
とにかく暦と季節がぐちゃぐちゃにズレにズレまくり、気が付いた時には1月に秋が来ていたそうです。
これはアカン!
と思ったのが当時の執政官だったユリウス・カエサル(ジュリアス・シーザー)。
あの「賽は投げられた」と「ブルータス、お前もか」の、あの人です。
ユリウス・カエサルによってうるう月を3か月分90日も入れて紀元前47年から太陽暦に合わせたユリウス暦をスタートさせました。
この時、すでにさすがのローマ人はうるう年が4年に一回必要であることを知っていたので、ユリウス暦は4年に一度のうるう年を設けて調整をしています。
うるう年はなぜ今の形になった?
ここまで読んできた方ならばお分かりかと思いますが、ユリウス暦の「四年に一度のうるう年」では、400年で一日のずれが生じてしまうのを覚えているかと思います。
公転周期は365.25日なんてきっかり割り切れる数字ではありませんでした。
この1年で11分余計に追加してしまうことに対して修正を加えたグレゴリオ暦を作ったのがローマ教皇のグレゴリウス13世です。
どうやらユリウス暦で3/21と言う決まりだった復活祭の日が徐々にずれてしまったため、これを解消するために新しい暦を作ったようです。
グレゴリオ暦は平年は365日として、400年の間に97回のうるう年を設定する決まりです。
これにより、一年間の日数と実際の公転周期を比べるとその差は約27秒と、ユリウス暦よりもはるかに精度が上がりました。
こうして1582年に作られたこの暦法が現在も使われており、うるう年は4年に一度・100で割り切れたらうるう年じゃない・400で割り切れたらうるう年、というちょっとややこしいルールになっているわけです。
なぜうるう日は二月なの?
しかしながらなぜうるう日が入るのが2月なんでしょうか?
普通最初に入れるか最後に入れるか、ともかく2月ってなんだか中途半端な時期ですよね。
ところが古代ローマ人にとっては2月は1年の終わりで、区切りがいい月でした。
なぜかと言うと、ちょっと触れましたがいわゆる農耕民族だったため、1年の始まりは農作業の始まり、つまり春でした。
そのため今の3月が1年の始まり。
2月は1年の終わりだったため、うるう日で調整するのが2月になったというわけです。
ちなみに、グレゴリオ暦を受け入れずユリウス暦を使っているヨーロッパの一部の国では、ユリウス暦のうるう日が2/24の翌日としていたことから、うるう年は2/24としている国もあります。
うるう年以外の暦の調整方法
色々な人の苦労があって今の状態に落ち着いてきたんだなぁというのが分かってしみじみとしたところで、実はうるう年の計算方法はこれだけではないという絶望的なお知らせです。
というか、実は日本でも正確にはこの計算方法ではありません。
他にも、グレゴリオ暦ではない暦で動いている国が世界にはたくさんあります。
そういった国や地域では暦と季節がずれずれかというとそんなわけはなく、それぞれの計算方法に則ったうるう日が挿入されてちゃんと修正されています。
日本の法律上の計算方法
実は日本だとうるう年の判定は「西暦」ではなく「皇紀」で法令が出ています。
日本でグレゴリオ暦を採用したのは明治に入ってから。
その際に皇紀(初代天皇である神武天皇が即位した年を元年とする日本の紀年法)では、西暦よりもマイナス660年の年を元年としています。
そのため
●皇紀年数を4で割って、割り切れる年はうるう年
●ただし、皇紀年数から660を引いて100で割り切れる年で、かつ100で割った時の商が4で割り切れない(つまり400の倍数ではない)年は平年とする
という法令が1898年明治31年に出されています(参議院法制局 法制執務コラム うるう年をめぐる法令)
ちなみにこの法令は現在でも生きています。
とまぁ、小難しい計算をしていますが、結局グレゴリオ暦と同じ結果が出てきますので安心してください。
グレゴリオ暦を受け入れなかった地域
グレゴリオ暦を作ったのは先ほども述べた通りローマ教皇です。
つまり暦を作った人がローマカトリックの最高指導者だったため、カトリック系の地域ではグレゴリオ暦は受け入れられましたが、非カトリック地域では受け入れられませんでした。
特に正教会系の地域ではグレゴリオ暦は否認されてユリウス暦を使いづつけていたのですが、1923年にグレゴリオ暦と月日を合わせた修正ユリウス暦に改暦する手続きがありました。
この修正ユリウス暦では
●西暦年が4で割り切れる年はうるう年
●ただし、西暦年が100で割り切れる年は平年
●ただし、西暦年を900で割った余りが200または600になる年はうるう年
というように、グレゴリオ暦のうるう年とは計算方法が違います。
どんな風に下3桁が100の年のうるう年が異なってくるかというと
●グレゴリオ暦のうるう年:1600年、2000年、2400年、2800年、3200年、3600年・・・
●修正ユリウス暦のうるう年:2000年、2400年、2900年、3300年、3800年・・・
結構違いますね。
修正ユリウス暦、大丈夫なの?これでちゃんと修正出来てるの??と、グレゴリオ暦で生きている私たちからしてみるとちょっと不安になりますが、実は修正の精度に関しては修正ユリウス暦の方が高いんです。
グレゴリオ暦の1年間の長さの平均が365.2425日なのに対し、修正ユリウス暦の1年間の平均の日数は365.242 222日。
修正ユリウス暦は1日ずれるまでに約4万3500年かかるそうです。
果たしてその頃、人間生きてるでしょうか・・・?
太陰暦とうるう年
さらにさらに、太陽暦ではなく太陰暦で現在も生活している国や地域があります。
それはイスラム教社会です。
暦は季節を反映していないイスラム暦で紀年方はヒジュラ紀元と言います。
純粋な太陰暦は季節と暦を一致させない(月の動きで暦が決まる)ので、太陽暦のようなうるう日はありません。
このイスラム暦は月の満ち欠けが約29.5日であることから小の月29日と大の月30日を交互に入れて12カ月で全部で354日としました。
しかし実際は29.5日よりも少しだけ長いため、現在は最後の月を29日から30日に増やすうるう日を30年周期で11回入れることになっています(2, 5, 7, 10, 13, 16, 18, 21, 24, 26, 29年目)。
うるう年とシステム障害
いろんなうるう年の計算方法があるんだなぁと他人事のように見守っていられるのは、人間だからパッと頭を切り替えて、あるいは気にせずに生活出来るからでしょうか?
実は一番困るのはシステム関係です。
システムが時々誤作動してニュースになったりします。
というのも、日本で一般的なグレゴリオ暦のうるう年の計算方法は、一番最初の「4年に一度」という部分しかプログラムに書き込まれておらず、100で割れる年・400年で割れる年の例外が省かれて処理されている場合があります。
この最たる例がExcelです。
と言っても、私が使っているExcelちょっと古いので(2010)、現在は修正されている可能性もありますが、たった10年前までプログラムがかかれていなかったというのは逆に驚きかなぁと思います。
しかしまさか、あのExcelが?ホント?と思われるかもしれないので、ちゃんと証拠画像を用意しました。
一番最初の行にそれぞれ2/20を打ちこんで下にオートフィル(規則性に従って自動入力してもらう)しました。
その結果、本来100で割れるが400で割れない1900年にもうるう日が挿入されてしまいました。
Excelですらコレなので、安い卓上カレンダーなんかは推して知るべしかなぁと思います。
しかし100と400の法則を追加するとプログラムがややこしいことになるし、実際に次の例外2100年までその卓上デジタルカレンダー使えるだろうか?って言うと微妙なので・・・別に気にしなくてもいいかなぁという気はいたします。
ただ、それ以外の様々なシステムでもエラーが出る可能性がある日なので、大事な予約は要注意です。
2月29日が誕生日の人は?
いいよね~うるう日に生まれた人は4年に一度しか年取らないんでしょ?
って、あれ嘘です。
日本の法律では、誕生日の前日の24時に加齢されることが決まっています。
そのため2/29生まれの人の年齢が変わるのは28日の深夜0時。
一方で海外には加齢されるのが次の日というところもあります。
世界共通ではありませんが、ともかく4年に1歳ということだけは無いということです。
うるう年はオリンピックイヤー?
オリンピックの年はうるう年でしょ?って言う覚え方、私も子供の頃していました。
でもこれ、実は関係ないらしいです(笑)
どうやら狙ってうるう年に最初のオリンピックをぶつけたわけではない様子・・・。
また、4年に一度の開催というのも、古代オリンピックの開催スパンを参考にしたという説が有力です。
オリンピックイヤーはうるう年というのは、本当に偶然の産物のようです。
海外のうるう年ってどんな感じ?
最後に、海外ではうるう年ってどんな感じなのかなって、ちょっと気になりました。
というのも、日本でうるう年・うるう日って特別これをする!って感じの風習があんまりないですよね。
たぶん明治時代にようやくグレゴリオ暦が導入されたので、季節的な風習としては特別な意味が付けられなかったんじゃないのかなと、個人的には考えています。
一方で海外ではleap day 跳躍の日と呼ばれ、縁起がいい日とされています。
また、この日は女性からプロポーズされた男性は断ってはいけないとされており、イギリスでは結婚指輪の購入が2割ほど増えるという話もあるそうです。
クリスマス→バレンタイン→ハロウィン→イースターと続いて次はleap dayの風習が・・・・さて日本で浸透するでしょうか?
意外と日本人ってこういうの好きなんじゃないのかなと、個人的には興味を持って様子を見ています。
最後に
うるう年・うるう日の設定がどうしてこうなったのか、分からず勉強していくと暦という不可解な物があり、余計分からなくなった部分もありました。
それはあまりにも日常的に暦を使っているせいで、恐らくイスラム諸国の方から見たら西暦を使っている私たちの生活の方こそ不思議の固まりなのかもしれません・・・。
ちなみに2020年はうるう年ですが、日本にとっては東京オリンピックの年でもあります。
別にオリンピックイヤーと閏年関係ないんですけどね、一応お祝いしておこうかなと思います。
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