大学受験はさせるとしてその手前、中学の時に高校受験をさせるか、小学校のうちに中学受験をして中高一貫校に入れてしまうか。
この差ってかなり大きいですよね。
学費はもちろんのこと、通算でかかる塾の費用は実際のところどれぐらいかかるのか気になります。
また、費用面が気になるのはもちろん、いい教育環境に入れたいと願うのは、元を正せば将来生活に困る確率を減らしてあげたいから。
どのタイミングで教育費を増やすと年収は延びやすくなるのか?
様々なデータから中学受験/高校受験のコスパについて考察します。
中学受験と高校受験の塾の費用はどれぐらい差がある?
まず中学受験の塾費用についてです。
入塾するのを4年生からと見積もり、4,5,6年生の間にいくらかかるのか算出しました。
4年生 | 5年生 | 6年生 |
45万円 | 65万円 | 105万円 |
さらに受験費用が1校あたり1.5~3万円なので、仮に4校受けさせるとして約10万円。
中学受験だけで225万円かかることになります。
詳しい内訳については
では高校受験ではどれぐらい必要になるのか。
文科省が報道発表として『平成24年度子供の学習費調査』と言う資料を出しています。
この中では公立中学校の中学生の学習塾の費用は三年間平均約20万円、3年間で60万円程度とされています。
が、これ全国平均なんです。
そのため、首都圏に至っては全くアテにならない数字でして、では実際の塾のホームページから数字を引っ張ってきて計算した方がいいかな、と思う次第。
高校では上位校を目指すためとして中学1年生からみっちり勉強してもらうのを前提に、中学1,2,3年生で計算してみます。
今回計算に使うのは河合塾の学費です。
入塾2万円 5教科特訓クラス
中1年間 | 中2年間 | 中3年間 |
36.19万円 | 35.64万円 | 46.485万円 |
春季講習 | 夏期講習 | 冬期講習 | 直前講習 (中3のみ) |
1.955万 | 4.63万 中3:7.82万 | 3.09万 中3:4.74万 | 2.89万 |
もし季節講習を中3だけ受けたとしても137万円、全学年ですべての季節講習を受けるとなると157万円になります。
これに私立高校の受験料は1.5~3万円、公立高校は9800円なので、例えば公立高校を含む4校を受けたとしても5.5~10万円かかることになります。
すると高校受験にかかる総額はだいたい150~170万円ぐらいとなります。
しかもこれは集団の塾でこの値段です。要は個別指導が入ったりするともっとかかるということ。
おおよそですが、集団塾の月謝が2~3万であるのに対して、個別指導だと4~7万円ぐらいかかります。
中学受験に比べたらよっぽど安いかと思いきや、高校から上位校を目指そうとすると結構塾費用はばかにならない値段だということがお分かり頂けるでしょか。
しかしそれでも中学受験とは55万円ほどの差があります。
さらに付け加えるならば、学費もものすごい差が出てきます。
公立中学校は学費は0円ですが、副教材や学校納付金、修学旅行の積立費用など諸々3年間で135~150万円かかります。
他方、私立中学校だとこれらの諸費用と学費を合わせると年間平均約120万+入学費用25万、3年間の合計では385万円ほどかかると言われています(学校によります)。
これらの学費と塾代を全てひっくるめてみると、高校卒業までにいくらかかるのかと言うのをパターン別にすると・・・
※1 『平成24年度子供の学習費調査』によると私立中学生は高校受験が無いことと学校の勉強だけで十分であることが多いので年間平均14万円、3年間で42万円程度とされています。もし仮に私立中高一貫校の中学1年生の時点から河合塾の難関大学を目指すための特別コースを受講すると3年間で108万円↑となります。
※2 河合塾の高校3年間の塾費用を元に計算しています。
こうしてみてみると、公立中学へ進んでから私立高校へ進んだ場合には、中学受験をした場合より342万円安いことが分かります。
公立中学から公立高校へ進学できた場合には倍も違います。
金額だけを見てしまうと、私立中を受験することは非常にコストがかかることが分かりますが、実際のところ重要なのは教育の中身ですよね。
次はじゃあ実際に、中学受験が将来に結びつくのか?について考えていきます。
中学受験と高校受験を比較すると進学はどう違う?
高校から大学進学する際の合格力は学校ごとにどれほどなのか?
これを調べるには膨大なデータをまとめないといけないのですが、今回は『全国高校「大学合格力」ランキング・ベスト50 国公立と超難関校に強い高校は?【2018年入試版】』を参考にします。
この記事で扱われている「大学合格力」と言うのは、1人一校しか受けられない国公立大学の上位行にどれぐらいの合格実績があるのか、その偏差値と合格者数から算出されている値で、数字が大きくなればなるほど国公立大学の上位校への合格が見込めるということになります。
私立大学については優秀な高校生は一人で何校も合格できてしまうので、これらの数値には混ざらないようになっています。
このランキングの上位は灘・東大寺学園・甲陽学院・筑波大学付属駒場などの中高一貫校です。
筑駒だけ国立ですが、それ以外の3校はいずれも私立。
ランキング50位までには私立高校が14校ランクインしていますが、いずれも中高一貫校です。
あれ?じゃあ14校以外は公立?公立の方がいいんじゃない?と思いました・・・が!
国立や県立高校が並びますが、埼玉浦和高校以外はほぼ地方の県立や市立高校で、首都圏の公立高校は全くライクインしてこられないのです。
これには首都圏が私立大学の層が厚いので、そちらを受ける場合がおおいという事情もあります。
そんな中でもランキングに入ってくるのは東京の開成25位、神奈川の聖光学院28位、神奈川の栄光学園29位と全て私立中高一貫校、しかも中学受験時は超難関校のポジションの学校ばかりです。
このランキングからは首都圏の場合には圧倒的に私立中高一貫校の方が大学受験には強いというのが分かります。
首都圏ではない場合にはこの限りではありませんが、東京都に限ってみてみると公立高校ではランキング外の八王子東高校が136位となっています。
大学進学への力の入れよう、中高6年間を使った先取り学習などの影響で、どうしても中高一貫校の方が大学受験への対策はしやすいのだと思います。
しかしでは本当に偏差値のいい大学へ進学できたからと言って、いい仕事に就けるのか?年収はどうなのか?
これは確率論でしかありませんが、DODAが出身大学別年収データを紹介しています。
こちらから有名どころの大学の平均年収と1000万円以上の割合をピックアップ、さらに大学受験パスナビの偏差値と合わせてみました。
【国立大学】 | 偏差値 | 平均年収 | 1000万円以上(%) |
東京大学 | 76~80 | 729万円 | 17% |
京都大学 | 71~77 | 766万円 | 12% |
北海道大学 | 52~65 | 590万円 | 7% |
首都大学東京 | 55~62 | 512万円 | 5% |
秋田大 | 40~65 | 465万円 | 3% |
琉球大学 | 40~52 | 408万円 | 1% |
【私立大学】 | |||
慶応大学 | 65~70 | 632万円 | 13% |
中央大学 | 57~64 | 531万円 | 6% |
近畿大学 | 42~60 | 446万円 | 2% |
拓殖大学 | 35~47 | 435万円 | 2% |
このように、中学受験をして私立中高一貫校へいけた場合、その後の大学受験ではより高い偏差値のところを目指すことが出来る可能性が上がります。
さらに偏差値の高い大学からはより年収の良い企業へ就職できる可能性が・・・、全て可能性の話ですが。
中学受験のコスパは悪いのか?いいのか?
ここまでをまとめてみると、中学受験⇒中高一貫校⇒大学⇒就職までを一つの流れとして、最初の中学受験で一歩先んじておくと後々にかなりのアドバンテージが得られる可能性があるようです。
もちろんこれは確率です。
いい中学・高校に行っていい大学に行けるかどうかはお子さんの努力次第、さらにそこからいい給料の会社へ行けるかどうかもその時の運や努力など、とにかく確実性ののある話は全くどこにも出てきません。
しかしその可能性をどう高めればいいのか、どのタイミングでお金をかけたらいいのか?
それには低年齢のうちにやっておいた方が良いというのが統計学的な見方です。
そういった諸々のコスパが、私立中高一貫校に進んだ場合と高校受験をして私立高校へ言った場合の342万円に現れています。
300万円以上多くかかるがその後の可能性を高める方がコスパが良いと感じるのか、あるいはその程度の差だったら自力で努力して埋めるべしと言う方がコスパが良いと感じるのか。
こればかりはご家庭の方針や金銭感覚の問題です。
私自身、これを計算してみて本当にこれだけの価値が342万円にあるのか、あるいはそれだけを稼げる親であり続けられるのかは正直分からないなと思いました。
ただ、これは将来への投資であることと、家族の問題であることから、一人で考え込んでいては始まらないなと思うのです。
計算された数値は年と共に変化する可能性がありますし、具体的な偏差値なども毎年変わります。
それを差し引いてもこのような傾向が存在するのだということを頭の片隅に置いて、中学受験をするかどうか、高校受験にシフトするのかどうかをよくご家族で話し合っていただければと思います。
中学受験VS高校受験まとめ
●偏差値の高い大学へ行くと年収は高くなる傾向があり、国公立大学への合格力は首都圏では私立中高一貫校の方が高い
●300万円にそれだけの価値があるのかは家庭の状況次第なのでよく話し合うことが必要
分かりやすい指標として、偏差値や年収などの数値を使って受験がその後の人生のどう結び付くのかを表現してみました。
しかし現在は偏差値や年収などの数字ににとらわれないものの見方や生き方をヨシとする世の中に変化してきています。
とはいえ私みたいな凡人からしてみると、数字にとらわれない自分だけの生き方が出来る人が出来る人は決して凡人ではないのだろうと思うのです。
自身の子どもが天才や秀才であってほしいと思う気持ちは簡単ですが、もしそうだと分かったら数字にとらわれた道から外れればいいだけの話。
そうではなく平々凡々のただの人であるならばなおさら一般論で考えた方がよいのかな?と。
難しいところですが、成長を見守りながらその都度考えていくべき問題なのだと思います。
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