冬至ならカボチャを食べて柚子湯に入るというのがぴんと来るかと思いますが、その反対の夏至は何かする?と聞かれると「あれ?」と思いますよね。
特にニュースでも何かが取り上げられているわけでもない。
でも冬至があんなに色々あるのになぜ夏至は思い当たらないのでしょうか?
それとも自分が毎年スルーしていただけ?!
夏至がどんなことをする行事なのか、食べ物は何なのかまとめてみました。
夏至は何をする日?風習や過ごし方って決まりがあるの?
簡単に言うと、全国統一でコレ!と言って何かする風習はありません。
残念ながら冬至のように、カボチャや柚子湯のような代名詞になるやることは無いようです。
実は、今の端午の節句の菖蒲湯が、柚子湯に対する夏至の行事だったようです。
しかし旧暦の端午の節句が、今の暦の5/27~6/25あたりで、ちょうど今の夏至の前後に当たていたことと、「菖蒲」と「尚武(武事・軍事を尊ぶこと)」のごろ合わせで夏至の風習から端午の節句の風習になってしまったようです。
そのため、冬至にはやることが決まっているのに夏至はやることがあまりない状態になってしまったわけですね。
ですが、一体どうして日本は夏至の風習が希薄なんでしょうか?
例えば北欧なんかでは夏至は盛大にお祭りをしていますよね。
これは日本が比較的太陽に恵まれた気候であるからではないかと考えられています。
北欧は基本的に太陽が出ている時間が短いため、太陽が出ている時間が一番長くなる夏至をありがたい日としてお祭りをしているという説です。
一応、日本も太陽信仰(アマテラスオオミカミ)ではあったのですが、冬場であってもほとんど日光が拝めないなんて日はありませんよね。
そのため夏至を盛大にお祝いする風習があまりないのではないかという説です。
夏至はそこまでお祝いしない一方で、夏至から数えて11日・7月2日は七十二候の「半夏生(はんげしょう)」といい、こちらの方も有名です。
というか、二十四節季の中でも春夏秋冬の一つを代表する「夏至」と同じように七十二候の「半夏生」が重要視されているのには実は日本の農業と深いかかわりがあります。
「半夏半作」といって夏至から半夏生までに田植えをしないと、収穫が半減するぞという言葉があります。
それ以外にも半夏生までに田植えをしないと毎日一粒ずつ米が無くなる、竹藪に入るのはダメ、井戸水を飲むな、など色々な言い伝えがあります。
これらは要するに、夏至から半夏生の当たりは農家にとって田植えの重要な時期であったことを示しています。
逆に半夏生の後は体を休めるようにという意味もあるようです。
どうにも日本の夏至は、農作物の手入れで大変であまりお祝いしている時期ではなかったようですね。
夏至の行事食って何?食べ物でコレってものは?
とはいえ!
なんか食べるものぐらいあるでしょ!
と思ったら、一応ありました。
関西ではタコ、関東では小麦の焼き餅を食べる風習があるようです。
タコは「稲がタコの足のように根をはるように」という意味で、小麦の焼き餅はお供えの意味が強いようです。
しかし夏至、というよりはやっぱり夏至から半夏生にかけて食べるモノという意味合いが強いようです。
他にもイチジクの田楽、半夏生鯖(焼きサバ)、半夏生うどん、半夏生餅などなど・・・各地で夏至あたりでこれを食べるというものは色々あります。
逆に言うと、全国的にコレ!というものはあまりないようです。
昨今ではスーパーなどで「夏至と言えばタコ!」なんて売り出されていることもありますが、あれは関西の風習を全国に広めようという恵方巻き第二弾なのかもしれません。
また「夏といえば土用の丑の日でうなぎでしょ~」という方もいらっしゃるかと思います。
ただこの土用の丑の日の由来は、江戸時代の平賀源内による鰻屋さんへのアドバイス(「本日土用の日」と書いて売ればよいと言っただけ)が元だという説が有力です。
が、本来は「う」がつけば何でも良いというのもありますし、そもそもウナギの旬は冬。
絶滅しそうな鰻をわざわざ食べる日にしなくてもよさそうですよね。
タコはともかく、小麦の焼き餅なんて大々的にスーパーで売っている物ではないので、夏至にはあまり気にせずにメニューを決めてしまってもよさそうです。
夏至に祭りを日本でやっている場所は?催し物はあるの?
同じく、夏至にお祭りを行っている神社やお寺はそう多くありません。
あの伊勢神宮ですら6/21日付近には何も祭事はありません。
数少ない夏至にお祭りをするのは、三重県伊勢市の二見興玉(ふたみおきたま)神社です。
この神社は、二見浦にある夫婦岩という岩の間から夏至の前後だけ朝日がのぼることから、夏至の朝に海に入って夫婦岩に向かってみそぎをする行事があります。
猿田彦大神をお祀りしている神社で、家内安全・交通安全などのご利益があります。
元々はこちらの海で禊をしてから伊勢神宮にお参りするという場所らしく、由緒ある神社でもあります。
また祭事ではありませんが、実は伊勢神宮の宇治橋前の神明鳥居(一番手前の境界を示す鳥居)の丁度真ん中から月が昇るのが夏至です。
伊勢志摩経済新聞のこちらの記事で取り上げられています。
狙って作られたのかどうかは分かりませんが、写真でも分かる通り本当に鳥居の真ん中から月が昇ってきます。
逆に冬至には鳥居の真ん中から日の出が拝めます。
伊勢神宮は天照大神をお祀りしている神社なので、どちらかというと日の出の方がありがたいようにも感じますが、夏至と冬至の自然の神秘に触れられる一瞬です。
さらにお祭りとはちがいますが、2003年から「100万人のキャンドルナイト」というのを夏至と冬至に行われています。(残念ながらこちらのHPは現在は更新されていないようです)
20~22時までの間電気を消して、一人一人ろうそくだけでゆっくり考える時間を持つことを提唱しているキャンペーン活動です。
特に参加表明などは無いようですが、開催イベントとして現在有名なのは東京の増上寺と大阪で行われているイベントです。
どちらも参加無料で行くだけです。(2018年は増上寺が6/16で大阪は6/6なのでどちらも夏至ではない)
とくに増上寺のキャンドルナイトでは、隣接する東京タワーも消灯します。
その瞬間を見ることもできるので、お祭りではありませんが一見の価値はあるかと思います。
6月の行事・夏至って何をする日まとめ
●旧暦だと冬至の柚子湯に対しての菖蒲湯に入る日だったが、新暦とのズレで菖蒲湯は端午の節句の習慣になってしまった
●関西のタコ、関東の小麦の焼き餅など、各地で食べるものは様々で一定の決まりはない
●お祭りも基本はないが、三重県伊勢市の二見興玉神社では夫婦岩の間から朝日が昇り海に入って禊をする祭事が執り行われている
●お祭りではないが、伊勢神宮の一番外側にある鳥居の真ん中から月が昇る日
●100万人のキャンドルナイトというキャンペーン活動が各地で展開されている
日本では夏至は特に何をするでもない日になってしまっているからこそ、今からこれをやろう!とすればなんにでもできそうな日ですね。
とくにキャンドルナイトなどは環境や平和などについて考える日として一定の支持を集めているようです。
タコでも食べてのんびりとろうそくの明かりで夜を過ごしてみてはいかがでしょうか。
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